FC2ブログ
02.24
Fri
豪瑞小ネタ。
巫女垣その後イメージ
「おれもうちょっとだけ温まってから行きます、先に上がっててください」

 それから、20分。
 しっかり巻きつけたマフラーに口元をうずめて、夜の冷たい風に身を竦ませる。
 住み慣れた街を飛び出し、二人で移り住んだ小さな田舎町。アパートから少し歩いた場所にある、昔ながらの銭湯。
 早々に逆上せかけた瑞垣に豪が言ったのだ。
 すぐ出ますんで。
 そんな風に言った時、いつもなら5分もあれば出てくる。
 だったら、たまには隣のコンビニで肉まんと温かい飲み物でも買って待ってようかなんて考えたのが間違いだった。
 大人しく脱衣所にいれば良かったと後悔する。
 折角ぽかぽかしていた身体も冬の凍てつくような冷気にすっかり熱を奪われてしまった。
 お茶のペットボトルで指先を温めながら空を見上げる。寒い分、空気が澄んで星が綺麗だ。

「瑞垣さん!」

 慌てて飛び出してきた豪を振り返る。
 コートの前も開いたままで、マフラーも巻かずに首から下げた状態で、申し訳なさそうな顔をしていた。

「すみません、お待たせしてしまって!」
「ほんまやで、まったく」

 白い吐息が闇に溶けて消えた。

「まさか外で待っててくれてるなんて思わなくて……」
「帰りにな、肉まんでもかじりながら帰ろうか思ったんやけど、冷めてもた。家帰ってレンジで温めなおそう」

 微笑む瑞垣の頬に豪が触れ、そのまま抱き寄せてきた。
 ふわりと心地よい熱に包み込まれる。

「すっかり冷たくなってしまって」
「誰のせいや、ばか」
「隣にいたご老人に捕まっちゃって……話、どうにか切ろうとしたんですけど、なかなか切れなくて。本当にすみませんでした」
「もうええよ。それよかはよ帰って肉まん食おうぜ。豪ちゃん」

 豪の腕から抜け出し、手を取ると瑞垣が言う。
 豪は幸せそうに笑って頷いた。
スポンサーサイト
back-to-top