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THE 倉庫
背中の蝶の痣と豪瑞
瑞垣の背中には蝶がいる。
左肩甲骨のすぐ横。外側に、羽を広げた蝶を思わせる形のアザ。
「ああ、本当じゃ」
豪が呟き、人差し指でなぞる。
くすぐったさにぴくりと肩が跳ねて、ふふっと笑い声のような息を漏れた。
「これは生まれつき?」
「さあ」
「リボンのようにも見えますが」
「まあどっちでもええけど……」
「綺麗ですね」
豪の言葉に瑞垣は目を瞬かせる。
脳裡を過る声。
―――俊ちゃんの背中には、ちょうちょがおるんじゃな
―――きれいじゃなあ
ほわほわした笑顔と口調。
とろくささが滲み出るような。
「瑞垣さん」
呼び掛けられて、はっとする。
脱ぎかけのシャツを引き上げて、瑞垣は言う。
「もうええやろ」
ボタンを留めようとする手を背後から豪が掴んで止める。
豪の手がそのまま瑞垣のシャツを剥いで、ちょうど痣のある辺りに鼻が摺り寄せられる。
「おい、ッ!」
ちぅと吸われる。
唇が滑るように僅かに動いてもう一度。
同じ行為を二三度、繰り返し、離れる唇。
「ながくらく~ん、なにしてるのかなぁ~?」
「ちょっと遊んでみたくなって」
そう言って、豪は悪戯っぽく笑う。
蝶の傍らにはいくつもの赤い華が散っていた。
Author:はむちー。
アイコンは突貫工事で作ったもの。中の人繋がりということで。
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